「みんながそうしているから」「嫌われたくないから」。そんな理由で、自分の本当の気持ちを後回しにしてしまうことはありませんか?由美村嬉々氏による絵本「ほんとうは、どうしたいの? リリアと つきの ひかり」は、優しすぎるあまりに自分を見失いそうになった小さなリスのリリアが、月の光に導かれて自分の「本音」と向き合う、心揺さぶる物語です。講談社から出版された本作は、繊細なイラストと、現代を生きる全ての人の心に深く刺さるメッセージが魅力です。この記事では、物語のあらすじやネタバレ、そして自分を大切にすることの素晴らしさについて、詳しく解説していきます。

絵本「ほんとうは、どうしたいの?」の基本情報と著者

まずは、この内省的で美しい絵本の概要と、著者についてご紹介します。

著者・由美村嬉々氏が描く「心の自立」

著者の由美村嬉々氏は、心理学的な知見を織り交ぜつつ、子供の自律性や自己肯定感をテーマにした作品を多く発表している作家です。本作でも、「自分の本当の願いを知る」という、人生において最も重要で難しいテーマを、リリアという愛らしいキャラクターを通じて描き出しています。

項目内容
タイトルほんとうは、どうしたいの? リリアと つきの ひかり
由美村 嬉々
出版社講談社
テーマ自己主張・境界線・自分を大切にする・月の光
対象年齢5歳〜大人まで

幻想的な「月の光」のアートワーク

本作のビジュアルは、静かな森の夜を舞台にしており、月の光が降り注ぐシーンの描写が圧倒的に美しいのが特徴です。光と影の使い方が、リリアの心の迷いと、そこからの解放を象徴するように描かれています。読者はリリアと一緒に夜の森を歩いているような感覚になり、物語の深淵な問いかけに自然と身を任せることができます。

物語のあらすじ(ネタバレあり):リリアの優しい嘘と真実

ここからは、リリアがどのようにして自分の心を取り戻していくのか、物語の核心を追っていきます。

お願いを断れない、優しいリスのリリア

主人公のリリアは、森で一番の「お人好し」です。友達に何かを頼まれると、自分の用事があっても、疲れていても、「いいよ」と笑って引き受けてしまいます。彼女は、みんなに喜んでもらえることが自分の幸せだと思っていました。しかし、次第に彼女の心は重くなり、自分が本当に何をしたいのか、何が好きだったのかさえ分からなくなっていきます。リリアの表情から少しずつ色が消えていく様子は、読む者の胸を締め付けます。

ネタバレ:月の光が照らし出した「本当の願い」

物語の中盤、ネタバレになりますが、リリアは一人で月の光を浴びながら、静かに涙を流します。その時、空に浮かぶお月様が優しく語りかけます。「リリア、ほんとうは、どうしたいの?」。その問いに、リリアは初めて「私は、今夜は一人で静かに本を読みたかったの。みんなの頼み事をしたくなかったの」と、心の底にあった本音を口にします。自分の気持ちを言葉にした瞬間、リリアの体は不思議な光に包まれ、心が軽くなっていくのを感じます。翌日、リリアは勇気を出して、友達の無理な誘いに対して「今はやりたいことがあるから、できないの」と伝えます。友達は怒るどころか、「そうなんだね、リリアがそう言うなら分かったよ」と受け入れてくれました。自分を大切にすることは、わがままではなく、相手と対等な関係を築くための第一歩である。リリアが満面の笑みを取り戻すラストは、多くの読者に深い感動と勇気を与えます。

本作が問いかける「境界線(バウンダリー)」の重要性

この絵本が、教育的、心理学的にどのような意義を持っているのかを考察します。

「いい子」でいることの危うさ

多くの子供たちは、親や先生の期待に応えようと「いい子」であることを求められます。しかし、他人の評価ばかりを基準にして行動し続けると、自分自身の核(コア)が空っぽになってしまいます。本作は、「NO」を言う勇気が、自分自身の命を守ることと同じくらい大切であることを教えてくれます。早期にこの感覚を養うことは、将来の人間関係におけるメンタルヘルスの維持に大きく寄与します。

自分を愛することが、他者を愛することの始まり

リリアは、自分を犠牲にして他者に尽くしていましたが、それは本当の意味での愛ではありませんでした。自分自身の心を満たし、大切にしているからこそ、溢れ出た優しさで他者を助けることができる。そんな「自分を愛する技術」を、本作は月の光という美しいメタファーを通じて伝えています。読み終わった後、子供だけでなく大人も「私は今、どうしたいかな?」と自分に問い直したくなる、深い哲学が込められています。

読み聞かせのポイントと親子での対話

この絵本をきっかけに、子供の本当の気持ちを引き出すためのアプローチを提案します。

リリアの気持ちを「自分ごと」として考える

読み聞かせの途中で、リリアが無理に笑っているシーンで立ち止まってみてください。「リリアちゃん、今どんな気持ちだと思う?」と聞いてみましょう。子供が「悲しそう」「嫌だと思っているかも」と答えたら、その共感を存分に受け止めてあげてください。感情をラベリング(名前をつける)する練習をすることで、子供は自分の内面の動きに敏感になります。

「魔法の質問」を日常に取り入れる

この絵本のタイトルである「ほんとうは、どうしたいの?」という言葉を、家庭の中の魔法の質問にしてみましょう。何かを選択する時、周りの顔色を窺っている様子の時に、優しくこの言葉をかけてあげてください。答えが何であっても、まずはそれを否定せずに認めてあげること。その安心感が、子供が自分の足で歩き出すための強固な土台となります。

読者からの口コミ:大人泣きする人が続出!

実際に本作を手にとった読者からの、切実な共感の声をご紹介します。

保護者や大人の読者の声

  • 子供に読み聞かせながら、私自身のことを言われているようで涙が止まりませんでした。ずっと「いい子」でいようと頑張りすぎていたことに気づかされました。
  • 自分の気持ちを言ってもいいんだ、と心から安心できました。お守りにしたい一冊です。
  • 由美村嬉々さんの言葉は、いつも心の一番柔らかいところに届きます。

子供たちの反応

  • 「リリアちゃん、お月様とお話しできてよかったね」と、自分もお月様に話しかけるようになりました。
  • 嫌な時は「嫌」って言ってもいいんだよ、というメッセージを子供なりに受け取っているようです。
  • 絵がとても綺麗で、月の光のページをずっと眺めています。

まとめ

絵本「ほんとうは、どうしたいの? リリアと つきの ひかり」は、由美村嬉々氏が、現代社会で自分の声を失いかけている全ての人に贈る、再生と解放の物語です。月の光に照らされて自分の本音を見つけ出したリリアの姿は、私たちに「自分を大切にする勇気」を思い出させてくれます。どんなに小さくても、自分の心から湧き上がる願いを尊重すること。その積み重ねが、自分自身の人生を色鮮やかに輝かせ、本当の意味で他者と繋がる力を育みます。ぜひ、静かな夜にこの本を開き、あなた自身の「ほんとうの願い」に耳を澄ませてみてください。お月様は、いつでもあなたの本当の姿を、優しく照らし出してくれているはずです。